活躍する卒業生

Active graduates

活躍する卒業生

縣陵を卒業し、活躍するOBOGです。

山崎 貴

高35回卒 映画監督。2023年作品「ゴジラ-1.0」で第96回米アカデミー賞視覚効果賞を受賞。代表作「Always3丁目の夕日」「永遠の0」など

「ネガの中にポジを見つけよう」

 縣陵に進学したきっかけは、文化祭に来てみてワクワクするような校風を感じたこと、また旧制松本高校を舞台にした北杜夫の作品が好きで、それに通じるバンカラな空気が残っていたのも気に入りました。勉強より映画製作に夢中な高校生でしたが、周りも皆、面白いことをやろうという情熱を持った人ばかり。卒業後、映像会社でアルバイトをしていた時に人との出会いに恵まれ、自分が得意としていたVFX(特撮)技術を認められたことで今日に至りました。技術から入ったというのは映画監督としては異色の経歴だと思います。

 今はこれまでの常識が通用しない変化の激しい時代です。そんな時こそ「瞬発力」が重要だと思います。変化を嘆くのではなく、ワクワクしながら対応したほうがいい。そう思えるのも、自由な校風で好きなことに夢中で取り組めた高校時代が影響していると思います。これからは求められる頭の使い方が変わってくるでしょうし、コミュニケーションには英語も必要です。チャンスがきたときに「自分にはこれができる」という蓄積を作っておくことが大事だと思います。ぜひ、高校時代に自分が好きと思えるものを見つけてください。


シェルパ斉藤(斉藤 政喜)

高31回卒 アウトドア作家・文筆家。1990年以降、『BE-PAL』『PEAKS』『フィールドライフ』などアウトドア雑誌を中心に紀行エッセイを長期連載している。

「歩けば答えは見つかる」

 在学中は自由奔放な高校生活を楽しんだ。オンボロジーンズに下駄を履いて通学していたし、縣陵祭の期間は女鳥羽川の河原で野宿もした。生徒の自主性を重んじたおおらかな校風のおかげで青春を満喫することができた。

 高校卒業の年に家業が倒産したものだから、僕は松本を離れて自活の道を歩み、会社に就職することもなくフリーランスの物書きになった。型にはまらない自由な旅を40年近く書き続けているが、還暦を過ぎてもモチベーションは下がらず、アイデアや好奇心が枯渇することもない。それは高校時代と変わらぬ精神で自分を信じて、いまだに体を張った歩く旅を続けているからだと思う。

 僕はスマホも携帯電話も所持していない。何ものにも束縛されず、考えを巡らす時間が大切だと信じているからだ。スマホはすぐに答えを導き出してくれるけど、すぐに見つかる答えなんて、すぐに忘れる。頭に残らない。

 後輩たちに伝えたい。スマホの小さな画面ばかり見ているとちっぽけな人間になる。スマホに頼らず、まずは自分の頭で考えなさい。それでも答えが見つからなければ、胸を張って道を歩きなさい。歩けば思考が前向きになって、自分が何をすべきか、答えがきっと見つかる。縣陵三大精神にもあるではないか。大道を闊歩せよ、と。


二村 伸

高28回卒 NHK解説委員。海外特派員として中東・欧州・アジア各国を取材。アジア総局長を経て2009年より解説委員。

夢は叶う、縣陵で。

本棚にある小学校の卒業文集を開くと、53年前の「僕」が夢を語っています。「アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オセアニア、アフリカを旅行し、世界の果てまで知り尽くしたい。たとえ何日かかっても最後までやりとげたい」。

高校ではバレーボールに打ち込み、夢は忘れかけていましたが、大学受験を控え、「これからは英語だけでなく誰もやらない言語が重要になる」という先生の助言が道標となり、夢は叶いました。自主性を重んじる縣陵の3年間が後押ししてくれました。この学校で「探究心」と国際的な視野を身に着け、夢を叶えてほしいと思います。